10月に開催されたAdobeの最新イベント「Adobe MAX 2024」の Sneaks セッションで「Project Turntable」という機能が発表されました。この機能は、Adobe Illustratorに搭載される予定で、従来の2Dイラストを3D風に自在に操作できる新しいツールです。Illustratorユーザーにとってはまさに「待望の新機能」となる予感が漂います。
ここでは、「Project Turntable」の詳細と活用場面、そしてAdobeがAI技術を活用して進化を遂げる背景についご紹介します。「Project Turntable」についてはAdobeの動画を是非ご覧になって下さい!(1:00くらいのところから実際に動かしている様子が始まります)
Adobe MAXのSneaksセッションは、毎年、注目の新技術や新機能が披露されることで知られています。今年も例に漏れず、クリエイティブ業界を大きく変えるような技術が続々と発表されました。その中でも特に話題となったのが「Project Turntable」です。このツールは、Adobe Illustratorを使って2Dで描かれたイラストをまるで3Dオブジェクトのように回転させることができる機能で、従来の2Dイラスト制作の常識を覆す新たな表現力を提供してくれます。
「Project Turntable」は、Illustratorにおけるデザインの幅を一気に広げることが可能で、特にキャラクターデザインやシーンデザインの視点変更が容易になるため、デザイナーやイラストレーターにとって非常に利便性の高いツールです。
「Project Turntable」の大きな特長は、手軽に2Dのイラストを回転させられる直感的な操作にあります。以下に、機能の詳細をご紹介します。
1. 直感的な回転操作
スライダーをドラッグするだけで、シェイプの回転が簡単に行えるため、従来のように全体を描き直す手間が省けます。これは特に、複雑なデザインやキャラクターを扱う際に、大幅な時間短縮につながります。イラストを描き直さずに別角度からの視点に切り替えられるのは、デザインの自由度を飛躍的に高める要因となります。
2. 多様なアートスタイルへの対応
シンプルなベクターシェイプから複雑なイラスト、さらには様々なアートスタイルまで幅広く対応している点も大きな魅力です。例えば、戦士や動物、風景なども多様な視点で表現可能です。視点やアングルの変更が簡単にできるため、作品に立体的な奥行きを与えることができます。
3. 水平および垂直回転が可能
水平・垂直の両方に対応した回転機能により、デザイナーはイラストの向きを自由自在に変更できます。上からの視点や横からの視点など、様々な角度からデザインを調整することで、視覚的なインパクトがさらに増します。
4. ベクター形式の維持
Project Turntable」は回転後もベクター形式を維持するため、解像度の劣化を気にせず、回転後に色を変更したり、詳細を編集したりすることが可能です。デザインの自由度が増し、細部へのこだわりも反映しやすくなります。
5. 複数オブジェクトの一括操作
複数のオブジェクトを回転させる際、個別に操作したり一括で変更を反映したりすることもできます。例えば、戦士とドラゴン、馬を異なる角度から表現し、躍動感あるシーンが簡単に作成可能です。編集内容を複数のオブジェクトに一括で適用できるため、シーン全体に統一感が生まれます。
6. 回転後のオブジェクトの一括編集機能
一度回転させたオブジェクトに後から変更を加えた場合、同様の変更が他の回転オブジェクトにも反映されるため、デザインの統一感を保ちながら効率的に作業できます。例えば、コウモリの角を追加した場合、他の回転したコウモリ全てに角が反映されます。
これらの機能により、「Project Turntable」はデザイナーの作業効率を高め、より高度な表現力を提供します。Adobe Illustratorにとって「Project Turntable」は、間違いなく次世代のツールとして注目されるでしょう。
「Project Turntable」は2Dイラストレーションを3D風に回転させられることから、多くの実務場面で役立つでしょう。具体的な活用例としては、以下のようなものが挙げられます。
1. キャラクターデザイン
例えば、ゲームやアニメーションのキャラクターデザインでは、様々な角度からキャラクターを描き分けることが求められますが、通常はそのたびに再度描き直す必要があります。「Project Turntable」を使用すれば、キャラクターのポーズや向きを変更する際も、スライダー操作のみで調整が完了するため、時間を大幅に短縮できます。
2. オブジェクトのバリエーション作成
複数の同じオブジェクトを配置する際、それぞれを描き直さず、一つのオブジェクトを回転させてバリエーションを作成することが可能です。例えば、背景に複数の木や石を配置する場合、回転させて微妙に異なる形を持たせることで、シーン全体に自然な雰囲気を演出できます。
3. シーンの視点変更
イラストやデザインのシーン全体を異なる視点で表現したい時に、オブジェクトごとに角度を変えて見せることが可能です。特にキャラクターや風景を含むシーンでは、各要素に異なる角度をつけることで、シーンに動きや立体感を加えることができます。
「Project Turntable」は、AdobeのAI活用の一環として登場しました。Adobeは近年、AI技術に大きな力を入れており、クリエイティブ業界における革新を進めています。AIの活用により、「Project Turntable」のような高度な操作が直感的に行えるようになり、デザイナーにとっての利便性と創造性が向上しています。
特にAI技術の進化により、従来は手作業で行っていた複雑な操作が簡単に実現できるようになりました。IllustratorやPhotoshopの多くの機能がAIに支えられている現在、デザイン業務の効率化や作品クオリティの向上が実現されています。
個人的にも、かつて3Dデザインに挑戦した際、自分が思ってるものを作るための学習コストの高さに挫折した経験があります。そのため、「Project Turntable」のように、簡単な操作で3D風の表現ができる技術が登場したことにすごくワクワクしました。多くのデザイナーにとっても、この進化は大きなメリットとなるのではないでしょうか。
Adobe MAXの「Project Turntable」をはじめとする新しいツールは、私たちがイメージするデザインの未来を身近なものとしています。「Project Turntable」の製品への搭載はまだ先となると思いますが、AI技術の導入により、より手軽に、より効果的にクリエイティブな作業ができる時代が到来しています。私自身もAI技術について様々な調査を行って、何かできそうなことがないか楽しみながら頭を悩ませています。
今後も最新の技術を積極的に取り入れ、皆様にとってより便利で創造性あふれるサービスをご提供できるよう、目指していきたいと思います。