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集客チラシのデザインはこれが正解! 効果を最大化する作り方の全手順

作成者: TS部 佐藤新一|2025/07/21

「時間と費用をかけてチラシを作って配布したのに、全く反応がなかった…」

「どうすればお客様の心に響く、集客につながるチラシが作れるのだろう?」

このような悩みを抱えている店舗経営者やマーケティング担当者の方は多いのではないでしょうか。

チラシは、正しくデザインすれば地域のお客様に直接アプローチできる非常に強力な集客ツールです。しかし、ただ情報を詰め込んだだけでは、読んでもらえないばかりか、ブランドイメージを損なうことにもなりかねません。

この記事では、デザインの初心者の方でも、しっかりと反響を呼べる「集客チラシ」を作成できるよう、作り方の全手順を徹底解説します。目的設定といった準備段階から、反響率を上げる9つのデザインのコツ、配布後の改善方法までを網羅しているため、読み終える頃には、効果的なチラシ作成への自信がついているはずです。

 

そもそも集客できるチラシとは?デザインの重要性を解説

集客できるチラシとは、単に見た目が美しいだけのチラシではありません。届けたい相手(ターゲット)に情報が確実に伝わり、心を動かし、最終的に「お店に行ってみよう」「問い合わせてみよう」といった「行動」を促す力を持つチラシのことです。

インターネットが普及した現代でも、チラシには特定のエリアの顧客に直接アプローチできるという強力なメリットがあります。特に、地域に根差したビジネスにとって、チラシは欠かせない集客ツールと言えるでしょう。

デザインは、そのチラシが読まれるか、捨てられるかを決める最初の関門です。人はチラシを手にしてから、わずか数秒で「自分に関係があるか」「読む価値があるか」を判断すると言われています。その数秒間で注意を引き、興味を持たせるのがデザインの役割なのです。効果的なデザインは、情報の価値を高め、読者の行動を後押しする力を持っています。

 

チラシ作成を始める前の3つの準備

優れたデザインは、しっかりとした準備から生まれます。いきなりパソコンに向かって作り始めるのではなく、まずは以下の3つの準備を行い、チラシの設計図を描くことが成功への近道です。

 

目的とゴールを明確にする

最初に「何のためにチラシを作るのか」という目的と、「チラシによって何が達成できれば成功か」というゴールを具体的に設定します。目的が曖昧なままでは、伝えるべき情報やデザインの方向性が定まりません。

例えば、「新商品の認知度を上げて、発売後1ヶ月で50個販売する」「リニューアルオープンを告知し、週末の来店客数を20%増やす」のように、具体的な数値でゴールを設定することが重要です。

目的の例

ゴールの例(KPI)

新商品の販売促進

発売後1ヶ月の売上〇〇円、販売数〇〇個

キャンペーンの告知

キャンペーン期間中の来店客数〇〇人

新規顧客の獲得

チラシ経由の問い合わせ数〇〇件

店舗の認知度向上

チラシ持参での来店者数〇〇人

 

ターゲット(ペルソナ)を具体的に描く

次に、「誰にそのチラシを届けたいのか」というターゲットを具体的にします。ターゲットが漠然としていると、誰の心にも響かない、当たり障りのない内容になってしまいます。

年齢、性別、職業、家族構成といった基本情報に加えて、「どんなことに悩んでいるのか」「何を求めているのか」といった内面まで深く掘り下げ、一人の人物像(ペルソナ)として設定しましょう。

例えば、学習塾のチラシであれば、「小学校高学年の子供を持つ30代後半の母親で、子供の成績が伸び悩んでいることに不安を感じている。他の塾との違いを知りたいと思っている」のように具体的に描くことで、響くメッセージやデザインが見えてきます。

 

配布方法とタイミングを決める

設定したターゲットに最も効果的にチラシを届けるための配布方法とタイミングを検討します。配布方法によってアプローチできる層が異なるため、ターゲットのライフスタイルを考慮して選びましょう。

配布方法

メリット

デメリット

新聞折込

新聞の信頼性があり、中高年層やファミリー層に届きやすい。

若年層には届きにくく、新聞を購読していない世帯には届かない。

ポスティング

配布エリアを細かく指定でき、新聞未購読層にも届けられる。

クレームにつながる可能性があり、他の郵便物に埋もれやすい。

手配り

ターゲットを直接見て渡せ、その場で簡単な説明ができる。

配布できる枚数が限られ、人件費がかかる。

店頭設置

来店客や店舗前を通る人へのアプローチが可能。

受け取ってもらえるかは相手次第で、能動的な配布はできない。

配布のタイミングも重要です。スーパーであれば週末の買い出し前を狙って金曜日や土曜日に、ビジネスパーソン向けであれば平日のランチタイムに、といったように、ターゲットがチラシを見て行動しやすい曜日や時間帯を狙って配布計画を立てましょう。

 

反響率が上がる集客チラシデザインの9つのコツ

準備が整ったら、いよいよデザインの制作に入ります。ここでは、読者の心を掴み、行動を促すための9つの具体的なデザインのコツを紹介します。

 

情報を整理し優先順位をつける

チラシに載せたい情報はたくさんあるかもしれませんが、すべてを盛り込むと、かえって何も伝わらなくなります。準備段階で設定した「目的」と「ターゲット」に立ち返り、本当に伝えるべき情報を厳選し、優先順位をつけましょう。

最も伝えたい情報(例:限定セールの告知)は何か、それを補足する情報は何か(例:セール内容、期間、場所)、そして行動を促す情報(例:電話番号、地図)は何かを整理します。情報に優先順位をつけることで、メリハリのある分かりやすい紙面になります。

 

人の視線の動きを意識したレイアウトにする

人はチラシを見るとき、無意識に特定のパターンで視線を動かす傾向があります。代表的なものに「Z型」と「N型」があります。横書きのチラシでは、視線は左上から右上、次に左下へ移動し、右下へと「Z」の形に動きます。

この視線の動きを意識し、Zの動きに沿って重要な情報を配置することで、読者はストレスなく情報を読み進めることができます。

配置場所

配置する情報の例

左上(始点)

最も伝えたいキャッチコピー、ロゴ

右上

補足情報、共感を呼ぶコピー

左下

詳細情報、具体的な説明

右下(終点)

問い合わせ先、地図、クーポン(行動喚起)

この原則に従い、左上に最もインパクトのあるキャッチコピーを、右下に電話番号やクーポンといった行動喚起の要素を配置するのがレイアウトの基本です。

 

心を掴むキャッチコピーを作成する

キャッチコピーは、読者がチラシを読み進めるかどうかを決める、最も重要な要素の一つです。ターゲットが「これは自分のための情報だ!」と直感的に思えるような、具体的で魅力的な言葉を考えましょう。

良いキャッチコピーのポイントは、「メリット」「具体性」「限定性」です。単に「セール開催中」とするのではなく、「このチラシを持参の方限定!2日間だけの全品半額セール」のように、誰が、いつ、何をすると、どんないいことがあるのかを明確に伝えることが重要です。

 

メリットが伝わる写真やイラストを選ぶ

写真は文字の7倍の情報を伝えると言われています。商品やサービスの魅力が一瞬で伝わるような、質の高い写真やイラストを使いましょう。

飲食店であれば食欲をそそるシズル感のある料理写真を、リフォーム会社であればリフォーム後の明るく快適な生活がイメージできるような写真を、学習塾であれば生徒が楽しそうに学ぶ様子の写真を使うことで、読者はサービスを利用した後の未来を具体的に想像できます。スタッフの笑顔の写真を載せることも、親近感や安心感につながり効果的です。

 

商品の「特徴」ではなく「得られる未来」を伝える

よくある間違いが、商品の「特徴」ばかりをアピールしてしまうことです。例えば、「高性能なCPUを搭載したパソコン」というのは特徴にすぎません。そうではなく、顧客がその商品やサービスを利用することで「どんな良い未来が手に入るのか(ベネフィット)」を伝えることが重要です。

「このパソコンがあれば、動画編集もサクサク進み、あなたの創造的な時間を邪魔しません」のように、顧客の視点に立った言葉で語りかけることで、自分ごととして捉えてもらいやすくなります。

 

お客様の声や実績で信頼性を高める

初めて見るお店やサービスに対して、人は少なからず警戒心を持っています。その不安を解消し、信頼性を高めるために有効なのが、「お客様の声(レビュー)」や「具体的な実績」です。

「〇〇の悩みが解決しました!」といった利用者のリアルな声や、「地域No.1の実績」「創業50年の信頼」といった具体的な数字や事実は、何よりの説得材料となります。可能であれば、お客様の顔写真付きで掲載すると、さらに信頼性が増します。

 

デザインに統一感を出す

チラシ全体で使う色を3色程度に絞ったり、フォント(書体)の種類をむやみに増やさなかったりすることで、デザインに統一感が生まれ、洗練された印象を与えます。

色は、メインカラー、ベースカラー、アクセントカラーの3つを基本に考えます。フォントは、見出し用のゴシック体、本文用の明朝体など、役割を決めて23種類に留めると、読みやすく整理された紙面になります。ブランドイメージに合った色やフォントを選ぶことも大切です。

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特典(オファー)で限定感を演出する

人の心を動かし、行動を促す強力な要素が「特典(オファー)」です。特に、「期間限定」「数量限定」「このチラシを持参した方限定」といった限定性を加えることで、「今すぐ行動しないと損だ」という心理が働き、来店や問い合わせの強力な後押しになります。

「先着30名様」「731日まで」といった具体的な期限や数量を明記し、特典の内容も「〇〇円割引クーポン」「ドリンク1杯無料」など、ターゲットにとって魅力的で分かりやすいものにしましょう。

 

次の行動を促す情報を分かりやすく載せる

チラシを読んで興味を持った人が、次にとるべき行動(来店、電話、ウェブサイト訪問など)を迷わず起こせるように、必要な情報を分かりやすく記載します。これはCTACall To Action:行動喚起)と呼ばれ、チラシのゴール達成に不可欠な要素です。

記載すべき情報

デザインのポイント

店舗名、住所、地図

地図はシンプルで分かりやすく。最寄り駅からの時間や目印も記載。

電話番号

大きめの文字で記載。受付時間も併記すると親切。

営業時間、定休日

読者が行動する上での前提条件となるため、必ず記載。

ウェブサイトURL、QRコード

QRコードを載せれば、スマホから簡単にアクセスできる。

これらの情報は、チラシの下部や右下にまとめて配置すると、読者が見つけやすくなります。

 

作成前に知っておきたいチラシデザインの注意点

効果的なチラシを作るためには、避けるべきポイントも知っておく必要があります。ここでは、特に陥りがちな2つの注意点を解説します。

 

情報を詰め込みすぎていないか確認する

「あれもこれも伝えたい」という思いから、紙面に情報を詰め込みすぎてしまうのは、最もよくある失敗例です。情報量が多すぎると、読者は読む気をなくしてしまいます。余白はデザインの重要な要素であり、適度な余白があることで、重要な情報が際立ち、読みやすさが向上します。伝えたいことに優先順位をつけ、本当に必要な情報だけに絞り込む勇気を持ちましょう。

良い例

悪い例

余白が十分にあり、重要な情報が目立っている。

文字や写真がぎっしりで、どこを読んで良いか分からない。

色やフォントが3種類程度に整理されている。

色もフォントも多用され、まとまりがなく読みにくい。

 

画像やイラストの著作権を侵害しない

インターネットで検索して見つけた画像やイラストを、安易にチラシに使用してはいけません。ほとんどの著作物には著作権があり、無断で使用すると著作権侵害として法的な問題に発展する可能性があります。

チラシに使用する画像は、自分で撮影・作成したものか、商用利用が許可されたフリー素材サイトのものを、利用規約を守って使用するようにしましょう。有料のストックフォトサービスを利用するのも一つの手です。企業の信頼を守るためにも、著作権のルールは必ず守ってください。

 

チラシ配布後に効果を最大化させる方法

チラシは作って配ったら終わりではありません。その効果を測定し、改善を繰り返していくことで、集客効果を最大化することができます。

 

反響率を測定し効果を分析する

配布したチラシがどれくらいの成果につながったのかを測定するために、「反響率」を計算しましょう。反響率は、以下の式で計算できます。

反響率(% = 反応数(来店、問い合わせなど) ÷ 配布枚数 × 100

一般的に、チラシの反響率は0.01%0.3%程度と言われています。反応数を正確に把握するためには、「チラシ持参で〇〇割引」「『チラシを見た』で特典プレゼント」といった、チラシ経由であることが分かる仕組みを用意することが重要です。

反響の測定方法

具体的なアクション

クーポン

チラシに切り取り式のクーポンを付け、回収枚数を数える。

専用QRコード

チラシ専用のWebページを用意し、QRコードからのアクセス数を計測する。

専用電話番号

チラシ専用の電話番号を設け、その番号からの着信数をカウントする。

口頭確認

会計時などに「チラシをご覧になりましたか?」とヒアリングする。

PDCAサイクルで改善を続ける

効果測定で得られたデータを元に、PDCAサイクル(PlanDoCheckAction)を回して、チラシを継続的に改善していきましょう。

  1. Plan(計画): データを元に、次のチラシの改善仮説を立てる。(例:「キャッチコピーを変えれば、反響率が上がるかもしれない」)
  2. Do(実行): 仮説に基づいて、新しいデザインのチラシを作成し、配布する。
  3. Check(評価): 新しいチラシの反響率を測定し、前回の結果と比較・評価する。
  4. Action(改善): 評価結果を踏まえ、さらに次の改善策を考える。

例えば、キャッチコピーを変えた2種類のチラシを同じエリアに配布して、どちらの反響が高いかを試す(A/Bテスト)のも有効な手法です。この改善サイクルを粘り強く繰り返すことが、集客を成功させる上で最も重要なのです。

 

まとめ

本記事では、集客できるチラシデザインの作り方を、準備段階からデザインの具体的なコツ、配布後の改善方法まで一貫して解説しました。重要なのは、ターゲットの心に寄り添い、伝えたい情報を整理し、行動を促す仕掛けをデザインに落とし込むことです。この記事を参考に、ぜひあなたのビジネスを加速させる一枚を作成してください。