荒川印刷ブログ

そのPDF、なぜ印刷がズレるのか? 原因と正しいデータの作り方

作成者: 営業部 中川貴啓|2026/04/30

「画面では問題なかったのに、印刷したら位置がズレている」
「端が少し切れている」「白フチが出た」

印刷会社では、PDF入稿トラブルの中でも
「ズレ」に関する問い合わせが多いのが実情です。

しかも、こうしたケースのほとんどは
印刷ミスではなく、データ作成段階の問題です。

この記事では、印刷現場で実際によく起きている
PDFのズレの原因と、正しく印刷されるデータの作り方を解説します。

 

なぜ印刷では「ズレ」が起きるのか?

印刷工程には必ず誤差がある

商業印刷では、次のような工程で制作されます。

  1. 大きな用紙に複数面をまとめて印刷
  2. 断裁機で仕上がりサイズにカット

この「断裁」の工程では、
どれだけ精密な機械でも 0.5〜1mm程度のズレが発生します。

この物理的な誤差を前提にデータを作らないと、
PDF通りの仕上がりにはなりません。

 

原因① 塗り足し(裁ち落とし)が足りない

塗り足しとは何か

塗り足しとは、
仕上がりサイズより外側に3mmずつ余分にデザインを伸ばす部分のことです。

例:A4サイズの場合
仕上がり:210 × 297mm
塗り足し込み:216 × 303mm

この余白がないと、断裁ズレが起きた際に
紙の白地が端に出てしまいます

よくあるミス

  • 背景色や写真が仕上がりラインで止まっている
  • CanvaやPowerPointでサイズ拡張をせずに作成している

塗り足し不足は、ズレ・白フチ問題の最も多い原因です。

 

原因② トンボ(トリムマーク)がない、または不正確

トンボの役割

トンボは「ここで断裁してください」という目印です。

  • 内トンボ:仕上がりサイズ
  • 外トンボ:塗り足しの外側

トンボがない場合、印刷所は
どこを基準にカットすればよいか判断できません

また、線を自作したトンボは
印刷工程では正しく認識されないことがあります。

IllustratorやInDesignなど、
ソフトの自動生成機能を使うことが必須です。

 

原因③ 重要な文字やロゴが端に寄りすぎている

安全エリアを意識していない

印刷では、仕上がりラインの内側にもズレが発生します。

そのため、

  • 仕上がり線から内側3mm以上
  • この範囲を「安全エリア」とする

というルールがあります。

このルールを守らないと、

  • 文字が欠ける
  • ロゴの一部が切れる

といった事故が起こります。

 

原因④ RGBデータ・透明効果による見た目のズレ

RGBのままPDFを入稿するとどうなるか

画面表示はRGB、印刷はCMYKです。
RGBのPDFは、印刷時にCMYKへ自動変換されます。

その結果、

  • 線が太く見える
  • 文字の位置が微妙にズレたように見える
  • 境界部分に違和感が出る

といった現象が起こることがあります。

ズレのように見えて、
実際はカラーモード変換による再計算であるケースも少なくありません。

 

印刷ズレを防ぐ正しいPDFデータの作り方

1. 塗り足しは必ず上下左右3mm

背景や写真は、外トンボまでしっかり伸ばします。

2. 重要な要素は仕上がり線から3mm以上内側

文字・ロゴ・QRコードは安全エリア内に配置します。

3. トンボは必ず自動生成

Illustrator、InDesign、Canvaの
「印刷用PDF書き出し」機能を使用します。

手描きトンボは使わないでください。

4. 印刷用PDFはPDF/X規格で保存する

多くの印刷会社が推奨しているのが、

  • PDF/X-1a(安全重視)
  • PDF/X-4(新しい環境向け)

特に指定がない場合は、
PDF/X-1aを選んでおくとトラブルが起きにくくなります

 

入稿前チェックリスト(抜粋)

  • 塗り足し3mmがある
  • トンボが正しく付いている
  • 文字やロゴが端に寄りすぎていない
  • カラーモードがCMYK
  • PDF/X形式で保存している

このチェックを行うだけでも、
ズレ事故の大半は防げます。

 

まとめ|PDFのズレは「データ設計」の問題

印刷で起きるズレの多くは、
印刷のせいではなく、印刷工程を想定していないデータが原因です。

逆に言えば、
基本ルールを押さえて作成すれば、ズレはほぼ防げます。

「このPDFで大丈夫か不安」
「入稿前に確認してほしい」

そんな場合は、ぜひ一度ご相談ください。