コロナ禍をきっかけに広がったオンラインの大学説明会ですが、対面のイベントが元通りに開催されるようになった今、どうなっているのでしょうか。だんだん減っていくのかと思いきや、役割を変えながら続いているようです。2026年9月に開催された「お家で大学フェアLIVE」を例に、今のオンライン進学イベントの様子を見ていきます。
「お家で大学フェアLIVE」は、ライオン企画が主催するオンラインの進学イベントです。2026年9月15日から17日までの3日間、各日18時30分からYouTubeで生配信されました。
ライオン企画は1979年設立の会社で、1987年に日本武道館で第1回を開いた進学相談会「大学フェア」を長く運営してきました。会場に大学が集まる従来型の相談会が本業で、今回のオンライン配信もその流れをくむものです。
配信はAとBの2チャンネルに分かれ、関東・関西・東海・中四国・九州の大学が日替わりで登場しました。3日間で参加したのは18大学です。
初日の9月15日はAチャンネルに大阪公立大学、同志社大学、東洋大学、法政大学、Bチャンネルに広島大学、摂南大学、神戸学院大学、京都橘大学。16日は九州工業大学、九州大学、同志社女子大学、京都女子大学。17日は金沢大学、名古屋工業大学、東京理科大学、龍谷大学、甲南大学、明治大学という顔ぶれでした。
1校あたりの持ち時間は30分。対象は高校生と保護者で、視聴は無料、事前の申込も不要です。
目を引いたのは、何を話すかという中身のほうです。
今回のイベントは「最新の入試情報」に焦点を当てると明記されていました。大学の特徴に加えて、2027年度入試の変更点や出願戦略が主なテーマになっています。一般選抜や共通テスト利用入試だけでなく、総合型選抜や学校推薦型選抜といった、いわゆる年内入試についても各大学が直接説明しました。
前年からの変更点、入試方式の選び方、出願校の決め方。第一志望だけでなく併願校も含めて、受験プランをどう組み立てるか。こうした、受験生がまさに迷っている論点が並びます。
キャンパスの様子や学部の特色を紹介して興味を持ってもらう、という従来の説明会とは少し違います。すでに受験を決めている生徒に対して、判断材料を渡す場になっているように見えます。
そう考えると、開催時期にも意味がありそうです。
2027年度大学入学共通テストの出願登録期間は、2026年9月15日から10月2日まででした。配信はちょうどその初日から始まっています。受験生が出願先を決めている、まさにその最中ということになります。
夏のオープンキャンパスが認知を広げる場だとすれば、9月中旬のこの配信は、そこから一歩進んだ段階の生徒に向けられていることになります。同じオンライン説明会でも、開催する時期によって求められる内容が違うということなのでしょう。
もう一つ気になるのが、事前申込が不要という点です。
視聴のハードルは下がりますが、大学から見ると誰が見たのかがわかりません。配信を見てくれた生徒に個別に連絡を取る、といったことはできない形式です。
そうなると、配信の中で「この続きはどこで見られるか」を伝えられているかどうかが効いてきます。30分では入試の全体像までは話しきれません。募集要項や学校案内、あるいはWebサイトのどこを見れば詳しい情報にたどり着けるのか。その案内がなければ、興味を持った生徒も配信が終わればそれきりになってしまいます。
配信そのものよりも、配信の前後をどう設計しているか。オンライン説明会が当たり前になったぶん、差が出るのはむしろそちらのほうかもしれません。