パソコンで文書作成をしたことがある方なら、「書体」や「フォント」という言葉に馴染みがあるかと思います。2つとも文字の見た目を表す言葉だということはご存知だと思いますが、違いはあるのでしょうか。
書体とは、統一的なデザインをもつように作られた「文字の集まり」のことで、和文書体では明朝体やゴシック体、楷書体などがあります。欧文書体ではローマン・イタリック・サンセリフなどがあります。
フォントとは、1つの書体から文字サイズごとに作られたセットで、表現するための具体的な手段(昔、活版印刷に使っていた金属の活字など)のことを言います。
ですが現代では、コンピュータ画面の表示や印刷物に使用するために、デジタル化された書体のことをフォントと呼んでいます。
もともと技術的にも歴史的にも異なる、書体とフォントですが、現代では同じような意味の扱いになっています。
私たちが目にする「情報」の表現方法は主に、
という5つの要素で形成されています。書体は情報を表現する要素のごく一部でしかありませんが、人は何かメッセージを見たときに、「自分にとって必要かどうか」を判断する材料として「見た目」を一番重視します。
例えば、書籍などの出版物の場合は、内容に合わせた読みやすい書体選びをすることで、読者に正しい知識や情報を与えることができます。広告チラシなどの場合は目立たせたりイメージを与えることで購買意欲を高めたりできます。
先日公開したインターンシップ受入れの記事の冒頭文から。
書体を変更することで長い文章でも読みやすくすることができます。とくに、紙への印刷物の場合など、明朝体の方が文章量が多くても読みやすいということがあります。
書体によって、文章の情報だけではなく、イメージや感情を付け加えることもできます。書体により受ける印象は違ってくるのではないでしょうか?
書体を変更することで文字情報に優先順位をつけることもよくありますね。少し工夫することで情報が見やすくなります。
商品名などに使われる書体によって、商品に対するイメージは変わってきます。親しみのあるポップな書体でお手軽な印象にすることもできますし、かっちりした書体で品位や価値を上げることもできます。
このように、書体選びでいろいろな機能を持たせることができます。
情報を伝えたい人物の年齢層、性別、性格、嗜好などの特徴をイメージし、そこから導き出される印象を持つ書体を選びましょう。
例えば、堅く真面目な文章なら明朝体、明るく柔らかいイメージなら丸ゴシック体、力強くインパクトを与えたければゴシック体…というふうに選びます。
ただ、ひと口に明朝体と言っても骨格や太さなど、特徴の違いによってたくさんの種類があります。デザイナーはできるだけ多くの書体を知っておき、適切に選ばなければいけません。
目指すデザインにマッチするような選択は簡単なようで難しいかもしれませんが、書体ひとつでデザインの印象がガラッと変わるので、書体選びというのは大切な行程のひとつなのです。