Movable Type 7にアップグレードしたほうが良い?

2018/06/7 ( 2018/08/20 更新)

Movable Type 7

Webサイト制作をするとき、簡単な更新は自社で行いたい、ということでCMS(コンテンツ管理システム)を導入することが多くなっています。

ライセンス費が不要なWordPressなどは個人から企業まで利用しているところは多いかと思いますが、荒川印刷ではほとんどの案件で「Movable Type(ムーバブル・タイプ)」を使っています。

そのMovable Typeが、先月、2018年5月16日にメジャーバージョンアップをし、Movable Type 7がリリースされました。

Movable Type 7になって、何が変わったのか。古いバージョンを使っている場合、すぐにバージョンアップをした方がいいのか。などをご紹介します。

sixapart.jpgシックスアパート社のサイト

 

「コンテンツタイプ」でサイトに合せた設計

Movable Typeの特徴として、1つの管理画面で複数のウェブサイトやブログを作成して組み合わせて構築できるというところがあります。

例えば、コーポレートサイトと採用サイト、英語サイトなどをそれぞれ別々のウェブサイトにし、ユーザー権限でアクセスできる人は制限しながらも、管理者は全てのサイトを1つのMovable Typeで管理できるということができます。ウェブサイトは、それぞれ別のドメインでも構いません。

その上で、例えばコーポレートサイトでは、お知らせ、実績、商品・サービス、お客様の声など、コンテンツごとにブログを作成し、その更新情報を集約してウェブサイトに表示するという形で、更新コンテンツごとのブログを作成することもできます。

更新コンテンツごとにユーザー権限をコントロールしたり、入力欄をカスタムフィールドなどでコンテンツに合わせてカスタマイズすることができるため、ブログとして分けてしまった方が制作も管理もわかりやすくなります。

つまり、更新コンテンツ毎に「ブログ」を作って、「記事」を作成して更新するという方法をとっていました。

しかし、そのほとんどが「ブログ」ではありません。なので、管理画面もカスタマイズして「ブログ」という文言をほかに置き換えたりすることもありました。サイトによってはブログがないことも少なくないので、本当にブログとして作る方が稀です。

そのような現状も踏まえてMovable Type 7では「ブログ」を複数作っていくということがなくなりました。

それぞれのコンテンツに合わせて「コンテンツタイプ」というもので入力画面を設計していくことができます。もちろんブログ用に作ることもできますが、例えばイベントページとかであれば、講師名や講師画像など、必要なものを設定していく感じです。常に、タイトルと本文欄がまずある、という形ではなくなったのです。

この辺りは、実際に構築していくと実感が出てくると思いますが、いままで無理やりブログとカスタムフィールドでやってたことが、ちゃんとコンテンツに合わせて設計できるので、考え方に慣れてしまえば、こっちの方が素直なはずです。

 

コンテンツの価値を最大化する CMS プラットフォーム「Movable Type 7」出荷開始 - プレスリリース | シックス・アパート - CMSソフトウェア、サービスを提供

 

管理画面が大きく変わった

Movable Type 7をインストールしてみると、管理画面がすっきりとシンプルになったのがわかります。いまどきというんでしょうか。

管理画面

2007年に登場したバージョン4から6までは、大きくは変わらなかった管理画面ですが、今回は大きく変わりました。1から考えて作り直したそうです。もちろん、下位バージョンからのバージョンアップにも対応していますので、メニューなど見覚えのあるものもありますが、使い勝手は少し変わっています。

こちらにMT3.X〜MT5までの管理画面のキャプチャがありました。

 

MT3.xからMT5.2までの間に劇的に変わった20個の機能まとめ-Six Apart ブログ|オウンドメディア運営者のための実践的情報とコミュニティ

 

MT5とMT6も大きく変わっていないので、MT4の頃から10年くらい同じようなデザインでしたね。

MT7を少しだけ触っていますが、これまで、コンテンツごとに作ったブログの切り替え、少しわかりにくかったですよね。「コンテンツタイプ」で作ったものは、「コンテンツデータ」というメニューに含まれて切り替えれます。

なお、サイトの下に「子サイト」も作ることができるので、権限的に分けたいというこれまでのような方法もできそうです。

最初、大きく変わったかな、と感じましたが使ってみると、これまでの機能は踏襲しているのでそんなに戸惑うところはないかもしれません。

 

そもそもなぜ Movable Type?

CMSとしては、無料で利用できることもありWordPressのほうがインストールされている数は多いと思います。扱える業者も多いですし、ウェブ上の情報も多い。しかし、それが大変なんです。

少し複雑なカスタマイズの場合、WordPressではPHPのテンプレートを編集する必要があります。Movable Typeの場合、プログラム部分を触らなくても管理画面上でどうにかなる場合がほとんどです。なので、プログラマに依頼する部分は少ない。ディレクターやデザイナーでもカスタマイズが可能。もちろん、PHPを勉強すればWordPressのテンプレートを触れますが、プログラム部分はできるだけ触りたくないところです。

そして、このPHPレベルでカスタマイズしたものや、複雑なテーマなどを作って構築したものは、読み解くのが大変。

しかも、たくさんのウェブ上の情報を元に、プログラムレベルで理解している人から、覚えたての人までどんな人がカスタマイズしたかが分からない。すぐに気づかない問題が含まれている場合もある。ウェブ上の情報も古い情報か新しい情報か分からないものもあったりで、カスタマイズ部分が多いほど、どんな状態になっているか分からない状態になっていたりします。

WordPressだからではなく、Movable Typeも含めてどんなCMSでも同じですが、同じCMSでも構築した人によって管理画面などは相当変わります。他社が構築したCMSは内容を理解するのが大変です。それが、WordPressの場合はプログラム部分に及ぶことが多いので、読み解くのが大変な印象。

ただ、これは荒川印刷が普段はMovable Typeを多く扱ってるので、Movable Typeの方が慣れているということもあるため、CMSの差ではないです。ただ、Movable Typeの方が、プログラム部分を触るカスタマイズが少ないので、特に運用中のサイトでも少し安心です。

Movable TypeはWordPressとは違い、ライセンス費が必要です。初期9万円で年間ライセンス費が3万円がかかります。

ところが荒川印刷の場合は、Movable Typeに慣れているため、同じような機能をカスタマイズする場合でも、WordPressのカスタマイズ費より安くなる場合があります。つまり、20〜30万くらいの予算でサイトを作る場合はライセンス費の割合が大きくなるため不利ですが、100万円以上のサイトであれば、カスタマイズ費がMovable Typeの方が抑えられ(プログラマに頼まなくてもできるので)、ライセンス費分の差がなくなることも少なくないのです。

また、個人的な経験ですが、構築後、何年か後のことを考えるとMovable Typeで構築した方がトラブルが少なくて幸せなのです。後々、機能を追加したいという場合に簡単に追加できず考え直さなきゃいけなかったり、バージョンアップがされていなくて乗っ取られてしまったり、ということが後から起こる可能性が、Movable Typeの方が経験上少ないのです。

少し前にも古いWordPressで作ったサイトが乗っ取られたので、より安全な構成にするために、CMSのプログラムは公開サーバーに置かず、CMSで更新して出力したHTMLファイルだけを公開サーバーに同期するというステージング運用にするためにMovable Typeに移行したということがありました。このような運用はMovable Typeのほうが得意で、こうして作ったサイトは納品後も安心できるところはあります。

もちろんデメリットもあります。管理画面で更新してもすぐに公開サイトに反映されない場合があります。再構築という作業でページを書き出し直す必要があるのですが、サイトのボリュームによっては相当時間がかかリます。更新時の軽快さは、かなり分が悪いです。とはいえ、安全面とのトレードオフかなと考えてはいます。

なお、WordPress以外にもオープンソースでライセンス費不要で使えるCMSはたくさんあります。Movable Typeはライセンス費が必要ですが、9万円というのは商用CMSとしては安いもの、商用パッケージ型のCMSとしては、Movable Typeの国内シェアは88.2%と高く、国内の導入実績も5万サイト以上とのことです。

CMS プラットフォーム Movable Type - クラウドもオンプレミスも幅広く対応可能なCMS - Six Apart

趣味で個人サイトを作るにはWordPressは手軽ですし、とても簡単で便利です。ただ、受託して、お客様のサイトを責任を持って作るとなると、何かあったらメーカーであるシックス・アパート社に直接問い合わせもできるMovable Typeは弊社の状況では助かっています。

 

今週末は「MTDDC MEETUP HOKKAIDO 2018」

先月リリースされたMovable Type 7ですが、今週末の6月9日に北海道でカンファレンスが行われます。

MTDDC MEETUP HOKKAIDO 2018 | MT:Ezo | MT蝦夷
「MTDDC MEETUP HOKKAIDO 2018」

MTDDC MEETUP は、Movable Typeのユーザーグループが主体となったカンファレンスで北海道では2度目の実施です。名古屋でも2014年に実施されています(その時の運営委員長をしてました)。

ユーザー主体のカンファレンスと言ってもシックス・アパート社の公認であり、「MTDDC MEETUP HOKKAIDO 2018」でも取締役CTO 平田氏の基調講演やMovable Type プロダクトマネージャー・リードエンジニアの高山氏によるセッションなどもあるため、私も参加して話を聞いてくる予定です。ていうか、明日出発です。何も準備していないです。

Movable Type関連の知り合いも北海道に集結するのではないかと思うので楽しみではあります。

ちなみに、荒川印刷ではこのイベントのBRONZE SPONSORになっているので、トップページにバナーを貼ってもらっています。探してみてくださいね。

 

結局、バージョンアップはしたほうがいいの?

「MTDDC MEETUP HOKKAIDO 2018」でのセッションや、懇親会なんかで情報を収集してこようかと思いますが、今回は管理画面も大きく変わっています。これまでのプラグインもそのまま使えないものもあるようです。

各社のプラグインの対応状況がこちらに記載されています。

Movable Type 7 RC リリースのお知らせと、正式リリース日のご案内 | Movable Type ニュース

 

ここに掲載されていないプラグインもあるため、バージョンアップは慎重にしたほうがよさそうです。必要なプラグインの対応がまだのようであれば、プラグインの対応を待つか、代替の方法を探す必要がありそうです。どちらにしてもテスト環境を作って、バージョンアップのテストをした上で、公開サイトをバージョンアップするかどうかの判断が必要になってくると思います。

セキュリティ面から言うと、CMSは常にバージョンアップをして最新に保つことが重要ですが、Movable Typeの場合は、静的ページを出力するCMSなので、閲覧するユーザーがCMSのプログラムに直接アクセスしない場合があります(コメントや検索機能でアクセスする場合はあります)。従って、慌てて最新の状況に対応しなくても良いかもしれません。

Movable Type 6も今後4年間、セキュリティバージョンアップが行われますので、Movable Type 6の最新版にアップデートしておくという選択肢もあります(バージョンアップには年間メンテナンスの購入が必要です)。

調査なども含め、バージョンアップや新規導入については、一度お問い合わせください。場合によってはMovable Type 6で構築したほうが良い場合や、クラウド版やウェブサービス版を利用するという選択もあるかと思います。

 

Web制作事業 特設サイトはこちら

 

タグ: Movable Type

執筆者: TS部 佐藤新一

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