カタログの効果を最大化する! 作成のポイントから成功事例まで解説

2025/09/25

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WEB広告やSNSマーケティングが主流の現代において、「今さら紙のカタログ?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、デジタルツールが溢れる今だからこそ、物理的な接点を持てるカタログの価値が再評価されています。効果的なカタログは、単なる商品リストではなく、企業の売上やブランド価値を大きく向上させる力強いマーケティングツールとなり得ます。

この記事では、カタログが持つ具体的な効果から、成果を最大化するための作成ステップ、成功事例までを網羅的に解説します。

 

なぜ今、カタログがマーケティングに効果的なのか?

デジタルマーケティングが全盛の時代ですが、多くの企業がカタログ施策を継続し、成果を上げています。その背景には、他のメディアにはないカタログならではのユニークな価値が存在します。ここでは、現代においてカタログが効果的である理由を3つの視点から解説します。

 

デジタル時代におけるカタログの再評価

インターネット上には情報が溢れ、顧客は日々大量のデジタルコンテンツに接しています。その結果、一つひとつの情報が記憶に残りづらくなっているのが現状です。
このような状況下で、物理的な「モノ」として存在するカタログは、顧客にとって新鮮な存在として際立ちます。手にとって自分のペースでページをめくるという体験は、デジタルにはない深い印象を与え、企業のメッセージを効果的に伝えます。

 

顧客の手元に残り、ブランドを記憶させる力

カタログの大きな利点は、顧客のオフィスや自宅に物理的に存在し続けることです。WebサイトのブックマークやSNSの投稿とは異なり、デスクの片隅や本棚に置かれたカタログは、顧客の日常生活の中で繰り返し目に留まる機会があります。
ふとした瞬間に手に取ってもらうことで、検討期間が長い製品やサービスであっても、顧客の記憶に残り続け、いざという時に思い出してもらえる可能性が高まります。これは、長期的な関係構築において非常に有効なアプローチです。

 

Webサイトへの導線としての役割

カタログは、オフラインからオンラインへ顧客を誘導する強力なハブとしての役割も担います。カタログにQRコードやWebサイトのURLを掲載することで、より詳細な情報や動画コンテンツ、購入ページへとスムーズに誘導することが可能です。
紙媒体の信頼感や情報の一覧性の高さを入り口としながら、Webサイトの持つ即時性や双方向性を組み合わせることで、顧客体験を向上させ、相乗効果を生み出すことができます。

 

カタログがもたらす具体的なメリット

カタログをマーケティングに活用することは、企業に多くのメリットをもたらします。ここでは、売上向上やブランディングに直結する具体的なメリットを3つ紹介します。これらの点を理解することで、社内でカタログ施策を提案する際の説得力を高めることができるでしょう。

 

網羅的な情報提供による顧客の理解促進

カタログは、自社の製品やサービスラインナップを網羅的に紹介するのに最適なツールです。Webサイトのようにクリックしてページを遷移する必要がなく、一覧性が高いため、顧客は複数の商品を簡単に比較検討できます。
仕様や価格、特徴といった詳細な情報を整理して掲載することで、顧客の製品理解を深め、購買に関する疑問や不安を解消する手助けとなります。結果として、顧客は安心して購買決定を下すことができます。

 

視覚的な魅力による購買意欲の向上

高品質な写真や洗練されたデザインは、製品やサービスの魅力を最大限に引き出し、顧客の購買意欲を直接的に刺激します。特に、アパレルや家具、食品といったビジュアルが重要な商材において、カタログはその効果を大きく発揮します。
紙の質感や印刷のクオリティにこだわることで、企業のブランドイメージを伝え、製品の世界観を演出し、顧客が「これを手に入れたい」と感じるような感情的な訴求が可能です。

 

オフラインでの重要な顧客接点の創出

展示会や商談、店舗といったオフラインの場で、カタログは顧客との重要なコミュニケーションツールとなります。名刺交換だけでは伝えきれない企業の魅力や製品の詳細を、カタログを渡すことで補完できます。
手元に残る資料として、商談後に社内で回覧されたり、意思決定の場で参考にされたりすることも期待できます。これにより、商談の場にいない決裁者に対しても、間接的にアプローチすることが可能になります。

 

紙とデジタル?それぞれのカタログの特徴を比較

カタログには、伝統的な「紙カタログ」と、Web上で閲覧できる「デジタルカタログ」の2種類があります。どちらか一方が優れているというわけではなく、それぞれの特徴を理解し、目的やターゲットに応じて使い分けることが重要です。

特徴

紙カタログ

デジタルカタログ

訴求力

五感に訴えかけ、記憶に残りやすい。ブランドイメージを伝えやすい。

 

一覧性

ページをめくりながら全体を把握しやすく、複数の商品を比較しやすい。

動画やリンクの埋め込みで、より動的でリッチな表現が可能。検索機能で目的の情報に素早くアクセスできる。

配布コスト

印刷・配送費用がかかり、部数に比例してコストが増加する。

 

印刷・配送費用が不要。配布数に制限がなく、低コストで展開可能。

修正・更新

一度印刷すると修正が困難。刷り直しには追加コストがかかる。

 

データの差し替えが容易で、常に最新の情報を提供できる。

 

効果測定

配布後の閲覧状況や効果を正確に測定することが難しい。

閲覧数、クリック率、滞在時間などの詳細なデータを取得・分析できる。

 

手触りや質感でブランドを伝える紙カタログ

紙カタログの最大の強みは、その物質性にあります。紙の種類や厚み、インクの乗り、特殊な加工などを通じて、デジタルでは表現できない高級感や温かみを演出できます。
実際に手に触れることで、五感を通じてブランドの世界観を深く伝え、顧客の記憶に強く残ります。高価格帯の商材や、ブランドイメージを重視する企業にとっては、非常に効果的なツールです。

 

拡散性とコスト効率に優れたデジタルカタログ

デジタルカタログは、URLを送るだけで簡単に共有できるため、非常に高い拡散性を持っています。WebサイトやSNS、メールマガジンなど、様々なデジタルチャネルで活用することが可能です。

また、印刷や配送にかかるコストが不要なため、特に配布対象が多い場合に大きなコストメリットがあります。情報の更新や修正も容易なため、常に最新の状態を保ちたい製品カタログにも適しています。

 

目的別のおすすめな使い分け方法

最適な選択は、カタログを渡す相手や状況によって異なります。例えば、重要な顧客との初回の商談や、企業のブランドイメージを強く印象付けたい展示会では、特別感のある紙カタログが効果的です。

一方で、既存顧客への定期的な情報提供や、Webサイトからの資料請求に対しては、迅速かつ低コストで届けられるデジタルカタログが向いています。両者を組み合わせ、それぞれの長所を活かすクロスメディア戦略が、最も効果を最大化するアプローチと言えるでしょう。

【関連記事】高品質なカタログ印刷のためのデータ制作ガイド

 

効果を最大化するカタログ作成の5つのステップ

成果の出るカタログは、偶然生まれるものではありません。戦略的な企画と丁寧な制作プロセスを経てこそ、その効果を最大限に発揮します。ここでは、失敗しないためのカタログ作成の重要な5つのステップを紹介します。

 

ステップ1: ターゲットと目的を明確に定義する

まず最初に、「誰に」「何を伝え」「どのような行動を促したいのか」を明確にします。ターゲットの年齢層、役職、ニーズなどを具体的に設定することで、心に響くコンテンツの方向性が決まります。

同様に、目的が「新規顧客の獲得」なのか、「既存顧客への追加購入促進」なのかによって、掲載すべき情報やデザインのトーンは大きく変わります。この初期段階での定義が、プロジェクト全体の成否を分けます。

 

ステップ2: 競合と差別化できるコンセプトを設計する

次に、競合他社のカタログを分析し、自社のカタログが埋もれないための独自性を考えます。自社の強みやブランドの個性を反映した、一貫したコンセプトを設計することが重要です。
例えば、「品質」を訴求するなら重厚感のあるデザイン、「革新性」を伝えるなら斬新なレイアウトなど、コンセプトがデザインやコピーライティングの指針となります。このコンセプトが、他社との明確な差別化につながります。

 

ステップ3: 情報を整理し、分かりやすい構成を作成する

カタログに掲載する情報を洗い出し、整理します。製品情報、価格、仕様、使用事例、お客様の声など、必要な要素をリストアップし、優先順位をつけます。
そして、顧客が求める情報を簡単に見つけられるよう、全体の構成(台割)を作成します。カテゴリー分けや索引(インデックス)を工夫し、ストレスなく読み進められる「検索性の高さ」を意識することが、読者の離脱を防ぐ鍵となります。

 

ステップ4: ブランドイメージを体現するデザインを制作する

ステップ2で設計したコンセプトに基づき、具体的なデザインを作成します。写真やイラスト、配色、フォントなど、すべての要素がブランドイメージと一貫していることが不可欠です。

製品の魅力を最大限に引き出す高品質なビジュアルを用意し、情報を詰め込みすぎず、余白を活かした読みやすいレイアウトを心掛けましょう。デザインの品質が、カタログ、ひいては企業全体の印象を左右します。

 

ステップ5: 正確な情報を担保する校正と品質管理

最後に、誤字脱字や記載内容の誤りがないか、複数人で繰り返し校正を行います。特に、製品の型番や価格、仕様などの情報は、間違いがあると企業の信頼を大きく損なう原因となります。

また、印刷の場合は、本番の印刷前に色校正を行い、意図した色味が出ているかを確認することも重要です。細部まで徹底的に品質を管理することが、信頼性の高いカタログを完成させるための最終ステップです。

 

カタログの効果測定と改善方法

カタログは作成して配布したら終わりではありません。その効果を測定し、得られたデータを次回の改善に活かすPDCAサイクルを回すことで、マーケティングツールとしてさらに強力になります。ここでは、効果測定の基本的な考え方を紹介します。

 

測定すべき重要指標(KPI)とは何か

カタログの効果を測るためには、事前に重要業績評価指標(KPI)を設定しておくことが重要です。KPIを設定することで、施策の成否を客観的に判断できます。

カタログの種類

主なKPIの例

紙カタログ

・カタログ経由の問い合わせ件数・商談化数・カタログに掲載したQRコードのアクセス数・専用電話番号やクーポンコードの利用数

デジタルカタログ

・ダウンロード数、閲覧ページ数・Webサイトへのリンククリック率・各ページの滞在時間、離脱率

これらの指標を追跡することで、どの製品に関心が集まっているのか、どの情報が顧客の行動を促したのかを把握できます。

 

効果を分析し、次回の改善に活かす方法

収集したデータを分析し、次回のカタログ制作に活かします。例えば、特定の製品ページの閲覧数が多ければ、その製品を次号の表紙や特集で大きく扱うといった改善が考えられます。
また、営業担当者や顧客から直接フィードバックを集めることも非常に有効です。「情報が見つけにくい」「この説明が分かりやすかった」といった生の声は、データだけでは分からない貴重な改善のヒントを与えてくれます。

 

カタログ施策の成功事例紹介

ここでは、実際にカタログを活用してビジネスの成果を上げた企業の事例を紹介します。自社の状況と照らし合わせながら、施策のヒントを見つけてください。

 

データ活用とCRM強化で顧客ロイヤルティを向上させたファンケルの事例

化粧品・健康食品メーカーのファンケルは、カタログ通販から発展した自社ECで大きな成功を収めています。同社は創業当初から通信販売に注力し、現在では「ファンケルオンライン」が主要チャネルとなりました。直販による顧客データの一元管理により、購買履歴や嗜好データを蓄積し、きめ細かなマーケティングを実現しています。定期購入モデルでは通販売上の20%以上を占める規模まで成長し、無添加・安心安全というブランドコンセプトを徹底して伝えることで根強いファンを獲得しました。15年以上にわたりCDPを活用したデータドリブン戦略により、顧客ロイヤルティの向上と高いリピート率を実現しています。

【参考記事】 化粧品ECで成功するポイントは?市場動向から事例まで解説 | Rtoaster

 

カタログ改革とパーソナライズ提案でV字回復を実現したオルビスの事例

化粧品ブランドのオルビスは、2023年からのカタログ改革により10年ぶりのV字回復を達成しました。デジタルシフトが進む中で逆にカタログへの投資を強化し、ブランド価値を訴求する内容へと変更した結果、クロスセルが増加しLTVの向上を実現しました。公式アプリやLINEを活用した「肌カルテ」機能により購入履歴やスキンケア日記を管理し、データ分析に基づくパーソナライズ提案を展開しています。顧客の購買サイクルに合わせたリマインドメールや、店舗とECの顧客データ統合によるオムニチャネル戦略で、自社EC売上比率が6割超に達し顧客満足度の大幅な向上を実現しました。

【参考記事】 オルビスの“柱”、10年ぶりのV字回復。通販を担うCRM統括部の軌跡と挑戦

 

まとめ

カタログは、デジタル時代においても顧客との重要な接点を作り出し、企業の売上とブランド価値を高める効果的なマーケティングツールです。紙とデジタルのそれぞれの特性を理解し、明確な戦略を持って作成・活用することが成功の鍵となります。本記事で紹介した作成ステップや事例を参考に、貴社のビジネスを加速させる一冊をぜひ企画してください。

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タグ: デザイン

執筆者: TS部 佐藤新一

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