「新しい年度に向けて生徒を増やしたいが、思うように集まらない」「広告費をかけても反応が薄い」。このようなお悩みをお持ちの、学習塾やスクールの経営者様、広報担当者様は多いのではないでしょうか。
少子化が進む現代において、生徒募集は多くの教育機関にとって共通の課題となっています。しかし、やり方次第で生徒募集を成功させることは十分に可能です。
本記事では、生徒募集を成功させるための具体的な方法を、オンライン・オフラインの両面から、詳しく解説します。明日からすぐに実践できるアイデアや成功例も紹介しますので、ぜひ貴校の生徒募集活動にお役立てください。
なぜ今、生徒募集が難しいのか?
近年、多くの学習塾やスクールが生徒募集に苦戦しています。その最も大きな原因は、少子化による生徒数の絶対的な減少です。文部科学省のデータを見ても、小中学生の数は年々減少しており、生徒の獲得競争は激化の一途をたどっています。
また、保護者や生徒の情報収集の方法が多様化したことも一因です。かつてはチラシや口コミが中心でしたが、現在はインターネット検索やSNSが当たり前になりました。このような変化に対応できなければ、生徒や保護者に自校の存在を知ってもらうことすら難しくなっています。
このような厳しい状況だからこそ、戦略的な生徒募集活動が不可欠なのです。
課題 |
具体的な状況 |
少子化 |
ターゲットとなる子どもの数が年々減少している |
競合の増加 |
個別指導塾、オンライン塾、特色ある習い事など、競合の選択肢が増えている |
情報収集の変化 |
保護者や生徒はWebサイトやSNSで情報収集を行うのが当たり前になっている |
ニーズの多様化 |
学力向上だけでなく、探求学習や英語教育、プログラミングなど、求められる教育内容が多様化している |
生徒募集を成功させるための準備と心構え
やみくもに施策を打っても、なかなか成果には結びつきません。生徒募集を成功させている教室の多くは、具体的な行動を起こす前に、しっかりとした準備と考え方の軸を持っています。ここでは、施策を始める前に押さえておくべき2つの重要なポイントを解説します。
誰に届けたい?ターゲットを明確にする
「どんな生徒に自校へ来てほしいか」を具体的に描けていますか?この「理想の生徒像(ペルソナ)」を明確にすることが、生徒募集の第一歩です。「近隣に住む小学生」といった漠然とした括りではなく、「中学受験を考えていて、算数が苦手な小学5年生の男の子。保護者は教育熱心で、面倒見の良い指導を求めている」というように、人物像を詳細に設定します。
ターゲットを明確にすることで、その人物に響くメッセージや、その人物がよく利用する媒体(SNS、Webサイトなど)が見えてきます。その結果、チラシのキャッチコピーやホームページのデザインなど、すべての施策がぶれることなく、一貫性を持ってターゲットに届くようになります。
他の教室との違いは?自校の強みを見つける
近隣に競合のスクールや塾はいくつありますか?その中で、なぜ生徒や保護者はあなたの教室を選ばなければならないのでしょうか。その「選ばれる理由」、つまり自校だけの強みや魅力を明確にすることが重要です。
「地域最安値」といった価格でのアピールは、価格競争に陥りやすく、経営を圧迫する可能性があります。そうではなく、「ベテラン講師による質の高い指導」「独自の英語教育プログラム」「アットホームで質問しやすい雰囲気」など、教育内容やサービス、教室の特色といった「価値」で勝負することが大切です。自校の強みを明確に打ち出すことで、競合との差別化を図り、授業料が高くても「この教室に通いたい」と思ってもらえるようになります。
【オンライン編】生徒募集の具体的な方法
現代の生徒募集において、オンラインの活用は欠かせません。保護者の多くが、まずはインターネットで情報を探すからです。ここでは、オンラインでの具体的な集客方法を3つ紹介します。
1. 多くの人が最初に見る!公式ホームページの活用
公式ホームページは、教室の「顔」とも言える最も重要なツールです。保護者や生徒が知りたい情報、例えば料金体系、コース内容、講師紹介、合格実績、教室の場所などが分かりやすく掲載されているか、改めて確認しましょう。特に、スマートフォンで見た際に見やすいデザインになっているか(レスポンシブ対応)は必須のチェックポイントです。
また、ブログ機能などを活用して、教育に関する考え方や教室での日々の出来事を発信することも有効です。教室の価値観や雰囲気が伝わり、信頼感の醸成に繋がります。
2. 生徒の日常が見える!SNSの活用法
SNSは、教室の「今」をリアルタイムに伝え、親近感を持ってもらうのに最適なツールです。例えば、InstagramやFacebookでは、写真や短い動画を使って授業の様子やイベントの雰囲気を視覚的に伝えられます。X(旧Twitter)では、教育に関する役立つ情報を発信したり、地域の保護者とコミュニケーションを取ったりするのに向いています。
大切なのは、広告感を出しすぎず、生徒たちの楽しそうな表情や真剣な眼差し、講師の情熱など、教室の「生きた情報」を発信することです。これにより、保護者は自分の子どもが通う姿を具体的にイメージしやすくなります。
3. 狙った層に届ける!Web広告の始め方
Web広告は、届けたい相手に的を絞って情報を届けられる強力な手法です。例えば、「〇〇市 中学生 塾」といったキーワードで検索した人に表示されるリスティング広告や、特定の地域や年齢、興味関心を持つ人にだけ表示できるSNS広告などがあります。
Web広告の大きなメリットは、少額の予算からでも始められる点です。まずは夏期講習や冬期講習といった短期的なイベントに合わせて広告を試し、反応を見ながら改善していくと良いでしょう。ホームページの中でも、特にキャンペーン専用のページ(LP)に直接誘導することで、より高い効果が期待できます。
【オフライン編】生徒募集の具体的な方法
Webが主流の時代でも、地域に根差した教室にとってオフラインの施策は依然として強力です。オンラインと組み合わせることで、その効果はさらに高まります。
1. 地域の定番!チラシ・ポスティングの効果的な使い方
チラシやポスティングは、特定のエリアに直接アプローチできる古典的かつ効果的な手法です。ただ情報を詰め込むのではなく、ターゲットとなる保護者や生徒が一目で「自分に関係がある」と分かるようなキャッチコピーやデザインを心がけましょう。
例えば、小学生向けなら楽しいイラストを多めに、中学生向けなら具体的な成績アップの実績を載せるなど、対象に合わせた工夫が重要です。さらに、チラシにQRコードを掲載し、ホームページやSNS、体験会の申し込みフォームへ誘導することで、オンラインへのスムーズな橋渡しができます。
2. 教室の魅力を直接伝える!イベント・体験会の開催
教室の雰囲気や講師の人柄を最も効果的に伝えられるのが、体験会や説明会といったイベントです。実際に教室へ足を運んでもらうことで、Webサイトだけでは伝わらない空気感や熱量を肌で感じてもらえます。
参加のハードルを下げるために、無料で開催したり、短時間で気軽に参加できるプログラムを用意したり、参加特典(割引券や文房具など)をつけたりする工夫も有効です。イベントでの出会いが、入塾の決め手になるケースは少なくありません。
3. 最強の集客チャネル!在校生・保護者からの紹介
在校生やその保護者からの「口コミ」や「紹介」は、最も信頼性が高く、強力な集客チャネルです。満足度の高いサービスを提供し、良好な関係を築けていれば、自然と良い評判は広まります。
さらに、紹介制度を設けることで、口コミを促進できます。紹介してくれた方と入塾してくれた方の双方に、授業料の割引や図書カードのプレゼントといった特典を用意する「紹介キャンペーン」は、多くの教室で導入されている有効な施策です。日頃から保護者とのコミュニケーションを大切にし、「ぜひお友達にも紹介してください」とお願いしやすい関係性を築いておくことが成功の鍵です。
生徒募集を成功に導くための大切な3つのポイント
これまで様々な施策を紹介してきましたが、これらを成功させるためには、共通する3つの大切な考え方があります。
1. オンラインとオフラインを組み合わせる
オンラインとオフラインの施策は、それぞれが独立しているのではなく、連携させることで相乗効果を生み出します。例えば、「ポスティングしたチラシにQRコードを載せて、詳しい情報や授業の様子はホームページの動画で見てもらう」「SNSでイベントの告知を行い、実際の教室に来てもらう」といった流れを作ることが重要です。複数の接点を持つことで、生徒や保護者の記憶に残りやすくなり、問い合わせや来校につながる可能性が高まります。
2. 効果を測定し、改善を続ける
施策は「やりっぱなし」にせず、必ず効果を測定し、次のアクションにつなげることが成功への近道です。難しい分析は必要ありません。体験授業に来た方に「何を見てこの教室を知りましたか?」と尋ねるだけでも、どの広告媒体が効果的かを知る貴重なデータになります。効果の高かった施策は継続・拡大し、反応の薄かった施策は見直す、というサイクル(PDCA)を回し続けることで、生徒募集の精度は着実に上がっていきます。
3. 卒業生の活躍や進路をアピールする
生徒や保護者が最も知りたいことの一つは、「この教室に通うと、どうなれるのか?」という未来の姿です。大学の合格実績やコンクールの入賞歴、あるいは「人前で話すのが苦手だった子が、自信を持って発表できるようになった」といった生徒の成長ストーリーを具体的に紹介しましょう。卒業生の活躍は、教室が提供する教育の価値を証明する何よりの証拠となり、入会を検討している人たちに強い安心感と信頼感を与えます。
生徒募集の成功例
ここでは、実際に成果を上げている生徒募集の成功事例を3つご紹介します。自校で取り入れられるヒントがないか、ぜひ探してみてください。
明光義塾の個別指導による圧倒的な生徒獲得
明光義塾は、個別指導のパイオニアとして長年にわたり生徒募集に成功してきました。全国47都道府県に2,000教室以上を展開し、約13万人を超える生徒が在籍しています。同社の成功要因は、一人ひとりの課題に合わせたオーダーメイドの学習プランと、対話型授業による「考える力」の育成にあります。また、英検準会場として2023年度は18,087名の合格者を輩出するなど、具体的な成果を示すことで保護者からの信頼を獲得。保護者の90%以上が満足する実績を背景に、継続的な生徒募集を実現している点が注目されます。
参考:明光義塾公式サイト
TOMASの完全1対1指導による難関校合格実績
個別指導塾TOMASは、完全1対1指導という独自のスタイルで生徒募集に成功している代表例です。2024年度大学入試では東京大学18名、京都大学7名、医学部医学科212名など、難関校への合格実績を多数輩出しました。同社は生徒1人に講師1人の完全個別指導を徹底し、志望校から逆算した個人別カリキュラムを作成することで、他の個別指導塾との差別化を図っています。具体的な合格実績を前面に打ち出すことで、質の高い教育を求める保護者層からの支持を獲得し、安定した生徒募集を続けています。
参考:TOMAS公式サイト
やる気スイッチグループの総合教育戦略
やる気スイッチグループは、個別指導のスクールIEを中心とした総合教育サービスで大規模な生徒募集を実現しています。国内外で2,400教室以上、約13万5千人の生徒を抱える同社は、幼児教室から学習塾、英語学童保育まで幅広いサービスを展開することで、異なる年齢層とニーズに対応した生徒獲得を行っています。複合型スクール「やる気スイッチスクエア」では、地域の教育プラットフォームとして機能し、一気通貫サービスによる生徒の囲い込みを実現。50年の教育実績と売上高4年連続首位という実績を背景に、フランチャイズ展開も含めた効率的な生徒募集モデルを構築している点が特徴的です。
まとめ
本記事では、明日から実践できるオンライン・オフラインの具体的な集客方法や、成功のための重要なポイント、成功事例を解説しました。生徒募集に「これさえやれば必ず成功する」という特効薬はありませんが、自校の強みを理解し、ターゲットに合った施策を試行錯誤しながら継続していくことが成功への着実な一歩となります。この記事で紹介した内容を一つでも実践し、貴校の発展につなげていただければ幸いです。