
三つ折りパンフレットは、商品紹介から会社案内まで、様々なシーンで活用できる優れた販促ツールです。しかし、いざ自分で作ろうとすると、「何から始めればいいの?」「どうすれば見栄え良く作れるの?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、デザイン初心者の方でも安心して三つ折りパンフレットを作成できるよう、基本的な知識から具体的な作り方の手順、そしてデザインを格上げするコツまで、分かりやすく解説していきます。
三つ折りパンフレットとは?チラシとの違いとメリットを解説
パンフレット作成を始める前に、まずはその特徴を理解することが重要です。
特に、よく比較される「チラシ」との違いを知ることで、三つ折りパンフレットの強みを最大限に活かせるようになります。
チラシとは違う!三つ折りパンフレットの強み
チラシと三つ折りパンフレットの最も大きな違いは、「ページの概念」の有無にあります。チラシは1枚の紙の表裏、最大2ページで情報を伝えるのに対し、三つ折りパンフレットは1枚の紙を折ることで6つの面(ページ)を作り出します。
このページ構成により、情報を整理し、物語のように順序立てて伝える「ストーリー性」を演出しやすいのが大きな強みです。 表紙で興味を引き、ページをめくるごとに詳しい説明が展開されることで、読み手は自然と内容を理解しやすくなります。新聞折込などで一度に多くの人に情報を届けることを目的とした「インパクト重視」のチラシに対し、三つ折りパンフレットは手に取って「読んでもらうこと」を目的としたツールなのです。
コンパクトで多くの情報を伝えられるメリット
三つ折りパンフレットは、A4用紙を三分割したサイズが一般的で、非常にコンパクトです。この小さなサイズ感のおかげで、店舗のカウンターや受付に置いても場所を取らず、手に取った人もカバンやポケットに入れて持ち帰りやすいというメリットがあります。
A4用紙1枚から作れる手軽さにもかかわらず、合計6ページ分の豊富な情報量を掲載できるコストパフォーマンスの高さも魅力です。冊子を作るほどではないけれど、チラシでは情報が収まらない、といった場合に最適なツールと言えるでしょう。
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項目 |
三つ折りパンフレット |
チラシ |
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ページ数 |
6ページ(表面3、裏面3) |
2ページ(表面1、裏面1) |
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目的 |
読んでもらい、理解を深める |
瞬時に興味を引き、行動を促す |
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特徴 |
ストーリー性、情報整理のしやすさ |
インパクト、一覧性 |
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適した用途 |
会社案内、商品詳細、メニュー |
セール告知、イベント案内 |
作成前に知っておきたい!三つ折りパンフレットの基本
効果的なパンフレットを作るためには、作成を始める前にいくつかの基本事項を決定しておく必要があります。ここでは、代表的な折り方の種類、サイズの選び方、そして用紙について解説します。
主流なのはこの2種類!「巻き三つ折り」と「外三つ折り」
三つ折りパンフレットには、主に「巻き三つ折り」と「外三つ折り」の2種類の折り方があります。どちらを選ぶかによって、情報の見せ方やデザインの作り方が変わってきます。
・巻き三つ折り
用紙の片側を内側に折り込み、もう片側をその上からかぶせるように折る方法です。
「C折り」とも呼ばれます。最も一般的で、表紙を開くとまず1つの面が現れ、さらにそれを開くと全体が見えるという構成になります。順を追って情報を伝えたい場合に適しており、ストーリー性のあるデザインを作りやすいのが特徴です。

・外三つ折り
山折りと谷折りを交互に繰り返す折り方で、開いたときにジグザグになることから
「Z折り」とも呼ばれます。表紙を開くとすぐに中面全体が見えるわけではなく、表と裏で2つのトピックを分けて見せたい場合などにおすすめです。

用途で選ぶ!パンフレットのサイズ決定
一般的に「A4の三つ折りパンフレット」と言う場合、「A4用紙を三つ折りにしたもの(仕上がりサイズは約100×210mm)」を指すことが多いです。これは長形3号封筒にぴったり収まるサイズで、郵送にも便利です。
一方で、仕上がりサイズがA4(広げるとA4が3枚つながった大きさ)という大型のものもあります。多くの情報を載せたい場合や、広げたときのインパクトを重視したい場合に適しています。 作成を始める前に、どのサイズで作りたいのか、印刷会社のテンプレートなどを確認して明確にしておきましょう。
失敗しない!パンフレット作成に適した用紙の選び方
パンフレットの印象は、使用する紙によって大きく変わります。ペラペラの薄い紙では安っぽく見えてしまい、保管されにくくなります。一般的には、コピー用紙よりも厚みのある、110kg~135kg程度の用紙がおすすめです。
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用紙の種類 |
特徴 |
おすすめの用途 |
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コート紙 |
表面に光沢があり、写真やイラストが鮮やかに印刷される。 |
写真を多用するパンフレット、商品の魅力を伝えたい場合。 |
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マットコート紙 |
光沢を抑えたしっとりとした質感。高級感があり、文字が読みやすい。 |
会社案内、落ち着いた雰囲気のデザイン、文字情報が多い場合。 |
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上質紙 |
コピー用紙に近い自然な風合い。筆記性に優れている。 |
アンケート用紙を兼ねたパンフレット、ナチュラルなデザイン。 |
初心者でも簡単!三つ折りパンフレット作成の5ステップ
ここからは、実際に三つ折りパンフレットを作成するための手順を5つのステップに分けて解説します。この流れに沿って進めれば、初心者でもスムーズに作成を進めることができます。
手順1:誰に何を伝えるか?目的とターゲットを明確にする
最初に、「誰に(ターゲット)」「何を伝えて」「どうしてほしいのか(目的)」を明確にすることが最も重要です。これが曖昧なままでは、誰にも響かないパンフレットになってしまいます。例えば、「新商品の購入を促進したい30代女性」と「技術力をアピールしたい取引先の担当者」では、伝えるべき内容もデザインのトーンも全く異なります。
手順2:情報を整理して構成を組み立てる
目的とターゲットが定まったら、パンフレットに掲載したい情報を全て書き出してみましょう。そして、ターゲットが知りたいであろう情報の優先順位をつけ、6つの面にどの情報を配置するかを大まかに決めます。この段階で、不要な情報を削ぎ落とし、最も伝えたいメッセージを絞り込むことが大切です。
手順3:見る順番を意識してレイアウトを設計する
人は無意識のうちに特定の順番でパンフレットを読み進めます。一般的に「巻き三つ折り」の場合、①表紙 → ②裏表紙 → ③表紙を開いた時の内側 → ④巻き込み面 → ⑤巻き込み面を開いた時の内側 → ⑥最奥の面、という順番で見られる傾向があります。この視線の流れを意識して、情報の優先順位通りに内容を配置していくことで、読者の理解を助けることができます。
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面の名称(巻き三つ折り) |
役割と掲載内容の例 |
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表紙 |
パンフレットの顔。興味を引くキャッチコピー、魅力的な写真。 |
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中面1(表紙の裏) |
導入部分。挨拶、問題提起、パンフレット全体の概要。 |
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中面2(巻き込み面) |
中心のコンテンツ。具体的なサービス内容、商品の詳細。 |
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中面3(見開き中央) |
最も伝えたいこと。ベネフィット、強み、お客様の声。 |
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裏表紙 |
結び。会社情報、問い合わせ先、アクセス、QRコード。 |
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その他(外面) |
補足情報。料金表、沿革、関連サービスなど。 |
手順4:デザインツールで原稿データを作成する
レイアウトが決まったら、いよいよデザインの作成です。WordやPowerPointでも作成可能ですが、デザイン初心者の方には、テンプレートが豊富に用意されている無料のデザインツール「Canva」などがおすすめです。テンプレートを使えば、複雑なレイアウト設定なしで、文字や写真を差し替えるだけで簡単におしゃれなデザインが完成します。
手順5:印刷会社に入稿して仕上げる
デザインデータが完成したら、印刷会社にデータを渡して印刷を依頼します。近年は、ラクスルのようにデザインから印刷までをWebサイト上で一貫して行えるサービスも増えています。 入稿の際には、印刷会社が指定するデータ形式や注意点をよく確認しましょう。特に、巻き三つ折りは内側に折り込む面の横幅を数ミリ短く作成する必要があるなど、独自のルールがあるため注意が必要です。
プロが教える!魅力的なデザインに仕上げる5つのコツ
デザインの経験がなくても、いくつかのコツを押さえるだけで、パンフレットのクオリティは格段に上がります。ここでは、初心者でもすぐに実践できる5つのポイントを紹介します。
興味を惹きつける表紙デザインのポイント
パンフレットを手に取ってもらえるかどうかは、表紙で決まります。「何のパンフレットか」が一目で分かるタイトルを上部に配置し、ターゲットの心に響くキャッチコピーや魅力的な写真を使いましょう。ラックに置かれることを想定し、情報が上部3分の1に集中するようにデザインすると、埋もれることなく目立たせることができます。
見開きを活かしてインパクトを出す
三つ折りパンフレットの大きな魅力の一つが、ページを開いたときのダイナミックな見せ方です。特に、中面を全て広げた3ページ分を1枚の絵として使い、大きな写真やイラスト、グラフなどを配置すると、強いインパクトを与えることができます。 ストーリーのクライマックスとなる部分で見開きを効果的に使い、読者を惹きつけましょう。
折り目に文字や顔写真を配置しない
デザインに夢中になっていると忘れがちなのが「折り目」の存在です。折り目の上に細かい文字や人の顔が配置されていると、非常に読みにくく、見た目の印象も悪くなってしまいます。重要な情報は折り目から少しずらして配置するように心がけましょう。
ブランドイメージに合った配色とフォントを選ぶ
色はデザインの印象を決定づける重要な要素です。誠実なイメージなら青、温かいイメージならオレンジなど、伝えたいブランドイメージに合った色をメインカラーに選び、色は3色程度に絞ると全体に統一感が生まれます。フォントも同様に、与えたい印象に合わせて選びましょう。ゴシック体は力強く、明朝体は上品な印象を与えます。
伝えたいことが分かる写真やイラストを活用する
文章だけでは伝わりにくい情報も、写真やイラストを使えば直感的に伝えることができます。サービスのイメージ写真、スタッフの笑顔、商品の利用シーンなど、ターゲットが「自分ごと」として捉えられるような、具体的で質の高いビジュアルを選びましょう。フリー素材サイトなども活用しつつ、可能であればオリジナルの写真を用意すると、より魅力が高まります。
【関連記事】集客チラシのデザインはこれが正解! 効果を最大化する作り方の全手順
無料で使える!パンフレット作成におすすめのツール2選
専門的なデザインソフトがなくても、三つ折りパンフレットは作成できます。ここでは、初心者の方でも扱いやすい無料のツールを2つ紹介します。
定番ソフトで作るならWord・PowerPoint
多くのPCに標準でインストールされているWordやPowerPointでも、三つ折りパンフレットの作成は可能です。Wordにはパンフレット用のテンプレートが用意されており、「ファイル」→「新規」から検索することで利用できます。 使い慣れたソフトで手軽に始めたい方におすすめです。
【参考記事】 無料の Microsoft 365 Online | Word、Excel、PowerPoint
おしゃれなテンプレートが豊富なCanva
Canvaは、ブラウザ上で簡単にデザインが作成できる無料ツールです。プロがデザインしたような高品質なテンプレートが数多く用意されており、写真やテキストを入れ替えるだけで、誰でもおしゃれなパンフレットを作ることができます。操作も直感的で分かりやすく、デザイン初心者には特におすすめのツールです。
【参考記事】 Canva(キャンバ):信じられないほど、素晴らしく
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ツール名 |
特徴 |
こんな人におすすめ |
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Word/PowerPoint |
多くのPCに標準搭載。オフラインで作業可能。 |
使い慣れたソフトで手軽に作りたい人。 |
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Canva |
おしゃれなテンプレートが豊富。直感的な操作性。 |
デザインに自信がないが、見栄えの良いものを作りたい人。 |
まとめ
三つ折りパンフレットの作り方について、基本から応用まで解説しました。重要なのは、いきなりデザインを始めるのではなく、目的とターゲットを明確にし、伝えるべき情報を整理するという準備段階です。本記事で紹介した手順とコツを参考に、ぜひあなたのビジネスや活動を加速させる、魅力的なパンフレット作成に挑戦してみてください。



