いまさら聞けない「目なり」

2020/03/2

pablo (66)

今回は「いまさら聞けないシリーズ」第3弾です。テーマは【目なり】について。

第1弾:いまさら聞けない 紙のサイズ
第2弾:いまさら聞けない 紙の「厚さ」と「種類」

 

そもそも「目なり」って?

【目なり】という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

紙を作るには、機械に水に溶かしたパルプを流しながら製造していきます。その際、進行方向に繊維が揃いやすくなり紙の流れ目ができます。

つまり、製造時に機械を流れていくパルプの繊維の向きが【目なり】となります。この目なりは、印刷や製本などの加工を施す上でとても重要になってきます。

 

タテ目(T目)とヨコ目(Y目)

【目なり】には、タテ目(T目)とヨコ目(Y目)の2種類あります。それぞれの違いは下記の通り。

  • タテ目(T目)
    紙の長辺に沿って繊維が流れている紙。
  • ヨコ目(Y目)
    紙の短辺に沿って繊維が流れている紙。

 

例えば新聞紙は、上下方向には破れやすく、左右方向には破れにくくなっています。

紙は繊維に沿って力を加えると破れやすいという特徴があります。つまり、上下方向に破れやすい新聞紙は、紙の長辺に沿って繊維が流れてるといえ、新聞紙はタテ目ということになります。

印刷や紙加工の業界では必ずといって良いほど「目なり」を考えて仕事を進めます。なぜ目なりを考える必要があるのでしょうか?

その理由は、最終製品の仕上がりに関わるからです!

 

例えば用紙を折る時、用紙の目なりと平行に折り目をつければきれいに折ることができ、反対に目なりと直角に折り目をつけようとすると上手く折れなくて、きれいに仕上がらないということになります。

その他にも、2つ折などのパンフレットの場合、逆目(一般的な使用法とは逆の目なり)の用紙を使うと折り部分がひび割れ、白くけばだつことがあります。また、折り加工では、紙が厚くなるほど折りにくく、折れたとしても折り目が汚くなってしまいます。

トレース_1

ポスターなどを丸めるときやプリンターに通すときなども目なりを知っていることできれいな仕上がりになるなど、印刷の工程で重要になります。

しかし、ニーズによってはあえて逆目にすることもあるので、必ずしも守らなければならない、というものでもありません。(名刺などは逆目にすることで手にしたときしっかりするなど・・・)

 

ユポの「目なり」

パルプ(植物繊維)から作られている普通紙とは異なり、石油由来の合成紙から作られているユポという紙の種類があります。普通紙より耐久性があるので屋外用のポスターなどによく使われます。

石油から作られているので植物繊維はありません。なので、目なりはないのではと思われがちですが、じつはユポも製造のしくみ上、目なりと同様の特性を持って作られます。

ユポでは縦目・横目という呼び方ではなく、縦目の事をショートグレイン、横目をロンググレインと呼びます。基本的にはショートグレインが一般的で、ロンググレインは一部の銘柄しか用意されていません。

 

注意したい紙の取り扱い

紙の取り扱いについて、その性質上、湿度によって紙が反ってしまうことがあると思います。

これは、紙の内部にある繊維が膨潤したり収縮したりすることで、目なりと垂直方向に伸びたり縮んだりすることが原因です。表裏の伸縮度合の差により紙が反ってしまうのですが、目なりと平行方向に反りやすくなります。

そのため紙を保管する場合、その保管する環境の湿度管理に注意が必要です。

トレース_2

同じ紙でも紙の特性を理解して製品を完成させていくのは経験豊富な職人のなせる業でもあります。今回ご紹介したのは紙についてでしたが、インキも同様に環境によって色味が変わったりします。AIなどの機械化が進んできていますが、まだまだ職人の技術や経験が必要な場面は多くあります。

 

タグ: 加工技術

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