
「営業資料も採用もDMも、もう全部デジタルでいいんじゃないか」
ここ数年、実際にこう言われる場面は増えました。
確かに、デジタルの即時性・更新性・拡散力は圧倒的です。
一方で、印刷の現場や営業の立場で仕事をしていると、
「この場面は、紙じゃないとうまくいかないな」と感じるシーンも、今なおはっきり残っています。
今回は、感覚論ではなく、実際の調査データや現場の使われ方をもとに、
「デジタル全盛でも紙が強い場面」を4つに絞って整理します。
1. 営業資料|「社内で回る資料」は、いまも紙が強い
BtoBの営業現場では、商談の場そのものよりも、
その後の社内検討フェーズが重要になるケースがほとんどです。
展示会や訪問営業のあと、
- 担当者が上司に説明する
- 複数部署で内容を共有する
- 稟議資料として回覧される
こうした流れの中で、手にとって共有できる資料が今も多く使われています。
実際、紙媒体は
- デスクに置かれる
- ファイルに綴じられる
- 会議の場で同時に複数人が見る
といった
「物理的に存在することによる接触回数の多さ」が強みです。
情報過多のデジタル環境では、PDFやリンクはすぐに埋もれてしまいますが、
紙は「目に入る状態」で残りやすいことが、商談後の想起につながっています。
印刷会社の立場から見ると、
「一度見せる資料」ではなく
「あとで何度も見返される資料」かどうかで、紙・デジタルの向き不向きが分かれます。
2. 展示会|その場では読まれなくても「持ち帰り資料」が効く
展示会の現場では、来場者は1日に何十社ものブースを回ります。
その場ですべての説明を覚えてもらうことは、現実的ではありません。
だからこそ、展示会向けのパンフレットやリーフレットは
会期後に思い出してもらうための営業ツールとして機能します。
展示会関連の調査や実務解説では、
紙の配布資料には次のような役割があると整理されています。
- ブースを離れた後も情報を伝え続ける
- 社内共有・比較検討用の資料になる
- 名刺交換の“きっかけ”として会話を生む
特にBtoB展示会では、
社内検討用に紙資料が回覧されるケースが多いことが、
多くの現場レポートで指摘されています。
ここで重要なのは、
「分厚いカタログを配ればいい」わけではない点です。
- コンパクトで持ち帰りやすい
- 比較しやすい構成
- 問い合わせ先がわかりやすい
こうした設計ができている紙資料は、
会期後の商談化率に直結します。
3. 採用|「後から見返される情報」は紙が記憶に残りやすい
採用活動は、オンラインへ移行した分野のひとつです。
それでも、採用パンフレットは今も多くの企業で使われ続けています。
理由のひとつは、
「説明会後・面接前後に見返される資料」としての役割です。
採用系の調査や実務解説では、紙の採用パンフレットには、
- 手元に残ることでリマインド効果がある
- 家族や知人との情報共有に使われやすい
- Web情報よりも企業の「全体像」を整理して伝えられる
といった特徴があるとされています。
また、紙媒体は
質感・写真・レイアウトによって企業の空気感を直感的に伝えやすい点も、現場では評価されています。
Webサイトは情報量が多くなりがちですが、
採用パンフレットは「伝えたい順番」で構成できるため、
志望動機づくりの材料として使われやすいのも特徴です。
4. DM(ダイレクトメール)|数字で見ても、紙はまだ強い
「DMはもう効かない」という声もあります。
しかし、実際の調査データを見ると、紙DMは今も高い反応を示しています。
一般社団法人日本ダイレクトメール協会
「DMメディア実態調査2024」によると、
- 本人宛て紙DMの開封・閲読率:74.3%
- DM閲読後の行動喚起率:20.8%
という結果が報告されています。
同じ期間のメルマガ開封率(約30%前後)と比べても、
紙DMの「読まれやすさ」は依然として高水準です。
重要なのは、
紙DM単体が強いというより、
「行動につながる入口」になりやすい点です。
調査では、
- ネット検索
- Webサイト閲覧
- 問い合わせ
といったデジタル行動のきっかけとして、紙DMが機能していることも示されています。
紙とデジタルは「競合」ではなく「役割分担」
現場で見ていて感じるのは、
紙とデジタルは、どちらかを選ぶ話ではないということです。
- 興味を持たせる → 紙
- 詳細を見せる → デジタル
- 行動させる → 両方を連動
この役割分担ができているケースほど、
営業・採用・販促はうまく回っています。
どこで紙を使うと効果的か
- 営業資料:社内で回るなら、紙が残る
- 展示会:会期後の検討フェーズに紙が効く
- 採用:リマインドと理解促進に紙が向く
- DM:数字で見ても、紙は今なお反応が高い
デジタル全盛の今だからこそ、
「どこで紙を使うか」を見直す意味は、むしろ大きくなっていると思います。



